菅義偉（すが・よしひで）官房長官は２２日午前の記者会見で、安倍晋三首相が２１日のロシアのプーチン大統領との電話会談で、１１月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）首脳会議の際に日露首脳会談の開催を提案したことを明らかにした。両首脳は、日露間の対話を継続することで一致しており、会談の実現に向け本格的な調整に入ることになった。
会見で菅氏は、電話会談に関し「首相から大統領に、１１月のＡＰＥＣも含め、マルチの国際会議の場を活用し、日露間で対話を行っていくことが重要であるという趣旨を述べた」と語った。
電話会談は２１日夕に行われ、プーチン氏が同日に誕生日を迎えた首相に祝福のメッセージを伝える形で行われた。
両首脳は互いに謝意を述べ合った上で、プーチン氏が首脳会談に前向きな考えを示し、首相が１１月のＡＰＥＣでの会談を提案した。
日本政府は、ウクライナ情勢をめぐり、欧州連合（ＥＵ）や米国と歩調を合わせる形で制裁を発動したため、日露関係は微妙になりつつある。このため、首相としてはプーチン氏との「個人的な信頼関係」を活用し、首脳会談を呼びかけることで関係維持を図る狙いがある。
また、日露両政府は米ニューヨークで開催中の国連総会で、岸田文雄外相とラブロフ外相との会談も調整している。実現すれば、今年３月のロシアによるクリミア併合後、日露の閣僚レベルでの直接会談としては初めてとなる。
首相は、今秋で合意しているプーチン氏の来日実現に依然強い意欲を見せている。首相とプーチン氏の電話会談を受け、外相会談ではプーチン氏の来日について議論される可能性がある。